2016/05/24~25にザ・プリンス パークタワー東京で開催されたde:code 2016に参加してきました。
サンフランシスコで開催されたbuild 2016参加直後から「de:codeはbuildの雰囲気をよく出している」という話をしてきました。
de:code 2016もその期待を裏切らないすばらしいものでした。
そして、同時に「違和感と期待感」という感想を私に抱かせました。
違和感の発端は初日キーノートです。
すでにキーノートはネットにも公開されているので、まだ視聴してない方はぜひ視聴してみてください。
参加された方や視聴された方は、もうなぜ私が違和感を感じたのか共感していただけるのではないでしょうか。
今までの日本マイクロソフトの技術系年次イベント(TechEd、Windows Developer Day、過去のde:code)でこれほどまでに開発者に対して
自分たちの技術を楽しみ、そして開発者に対して『一緒に楽しみましょう』どうですか?
と語りかけてくれたことはあったでしょうか。
マイクロソフトだけではなく多くのベンダーのイベントでは、最新の技術をわかりやすく、かっこよく、それこそ驚かせるように示してくれます。
しかし、今回のキーノートでは、まず自分たちが楽しみ本当に価値観を理解し、だから、みんなもよかったらどうぞとお裾分けしてくれるようなすがすがしいくらいに押しつけがましさがない内容だったのです。
他にも違和感はありました。
buildにはなくde:codeにだけあるぎゅうぎゅうづめの通路(通路の幅は4倍くらい違う)ですれ違う中に、マイクロソフトのイベントで見かけたことがない知り合いの顔ぶれが多く見られたことです。
そして、その表情は「きてやったけど、まあ、マイクロソフトだよなぁ」のような敵対する勢力の変わらぬ姿勢をみてやれやれというった表情ではなく、同じ開発者という枠組みの中で同じ価値観を見出して、同じテンションでワクワクしているそういった表情をしているのです。
OSの違いやオープンソースかどうかなんて小さいこと。
キーノートでも日本マイクロソフトCTOの榊原さんがおっしゃってました「良いものかそうじゃないか。世の中の役に立つのか立たないのか。」まさに言葉通りに、まるで我々にお手本をしますようにマイクロソフトは
「開発者にとって良いもの、世の中の役に立つもの」
を選択する会社に変わったということなのでしょう。
そこには、そういった判断以前にオープンソースかどうかで判断していたころのマイクロソフトの姿は微塵も感じられなかったのではないでしょうか。
Microsoft MVPとして、マイクロソフトの技術に注目してきたので「マイクロソフトノギジュツ チョットワカル」はずですし、buildも参加して米国本社の変わりようは知ってはいました。
そんな予備知識があったのに「日本マイクロソフトすげー!」と驚きの違和感、そして、ともすればマイクロソフトの技術に注目していなかった層をぐっと引き寄せた「そうだよ!わかっているね!」感はキーノート後のセッションでも様々なところで感じられました。
だって、スピーカーの人ってマイクロソフトの技術だからスゲーって感じじゃなくて
「この技術すごいでしょ?いや、これで開発したら楽しいでしょ?あ、これマイクロソフトの技術だけどね」
のような感じで、会社すげーというより、自分の推しメンのことを話すように技術のことを話しているのですもの。
一応、私が受講できた(満員ではいれなかったり展示会場サポートやコミュニティブースでみれなかったものを除く)セッションは
Day1
- 間違いだらけの IoT プラットフォーム
- 今だからもう一度確認したい、クライアント テクノロジの概要と選択
- HoloLens 概要 ~世界を見る新しい方法~
- Windows 10 デバイスと UWP 完全解説
- マイクロソフト最新テクノロジと魅力あふれる未来像
Day2
- データ分析のさらに一歩先へ Cortana Intelligence Suite
- 有能な AI アシスタントを手に入れる! Microsoft Cognitive Services 入門
- 200 時間以上お客様と向き合って見えた Team Foundation Server による開発業務効率化の実現方法
- Xamarin Deep Dive - Xamarin.Forms の可能性
- 音声を活用した UWP アプリの拡張 ~Cortana、音声合成、音声認識~
でした。
これ以外にも見たいセッションはたくさんあって、早く資料と録画公開が開始されないかと待っている状態です。
UWP、Cortana、Congnitive、Xamarinと好きな技術、注目してきた技術の最新情報に触れられて、本当に楽しくすごした2日間でした。
人は誰でもが、きっと誰かの役に立ちたいと思っていると思います。
組織や会社も同じではないでしょうか。しかし、組織や会社はともすれば成長という中で市場のオンリーワンになるがために競争相手を敵とみなして必要以上に恐れ憎み「役に立つ」というところの出発点からはずれて行ってしまう場合があります。
サーバーOSがUNIXだった時代、サーバーOS市場に食い込み拡大しようとしていたときに挑戦者としてのマイクロソフトがとった戦略がまさにそうでした。クライアントOSの覇者が闘志をむき出しにしてUNIXやそしてオープンソースを否定していく様は、まさに「悪の帝国」のように映ったのでしょう。
マスターヨーダの言葉を借りれば「Anger... fear... aggression. The dark side of the Force are they.」です。
時代は変わり、ポストPCと呼ばれる時代。マイクロソフトは再び挑戦者としての立場に立ちましたが、その戦略は前回と異なります。
「開発者にとって良いもの、世の中の役に立つもの」
それを提供することで共に歩んでいける信頼を得て進んでいく。そういったビジョンは、マイクロソフトの従業員にも、マイクロソフト製品を使って開発する開発者にも、そして世の中のすべての人にとってもより良き方向に進むための灯になるのではないかと考えます。
最後に、de:code 2016の最終セッションの最後の実例紹介で感じた自分のツイートを引用して終わりたいと思います。ここに期待感のすべてが詰まっています。
buildとde:code、アメリカと日本というイベントも地域も別なので偶然かもだけれど、技術とはこういったことに使うんだよ、その手助けをするのがマイクロソフトなんだよと言われたような気がします。#decode16
? はつね (@hatsune_) 2016年5月26日