前回
hatsune.hatenablog.jp
前回はNTPを使った時刻合わせと表示の方法について紹介しました。
今回は、HY2.0-4P(GROVE端子)を.NET nanoFrameworkから使う方法について紹介します。
事前準備
センサーについて
この記事で使用するセンサーは、M5StackユニットのENV-IIIを使います。
GROVE規格なのでM5StickC PlusのHY2.0-4P端子に接続できます。
ENV-IIIは、気圧センサーとしてQMP6988、気温と湿度のセンサーとしてSHT30を内蔵したユニットとなります。
ENV-IIIとM5StickC Plusを接続し、更にM5StickC PlusをUSBでPCに接続して、準備完了です。
Install the nanoFramework firmware
M5StickC PlusにはnanoFrameworkは標準インストールされていないので、nanoFrameworkをインストールします。
接続ポート番号の確認
USBでM5StickC PlusをPCに接続したら、USB Serial Portのポート番号を確認します。今回の環境では「COM6」が該当しました。
Flasherアプリケーションのインストール
OSの[スタート]メニューから「Developer PowerShell for VS2022」を起動します。
dotnet tool install --global nanoff
nanoFrameworkfファームウェアをインストール
M5StickC Plusをターゲットにして「COM6」経由でnanoFrameworkをアップロードします。
nanoff --target M5StickCPlus --update --serialport COM6
Visual Studioの準備
Visual Studioを機能拡張する
Visual Studioには.NET nanoFramework Extensionをインストールして機能拡張しておきます。
この機能拡張によりnanoFrameworkアプリのテンプレートが追加されます。
このテンプレートで作成したプロジェクトには、NuGetから自動的に「nanoFramework.CoreLibrary」ライブラリが追加されています。
「nanoFramework.M5StickCPlus」ライブラリを追加する
M5StickC Plusの画面などハードウェアにアクセスするために、M5StickC Plus用のライブラリを追加します。
ここまでが、M5StickC Plusを使うアプリ開発を行う上での共通の事前準備となります。
M5StickC Plusで気温と湿度の表示(SHT30)
ライブラリの追加
.NET nanoFrameworkにはSHT30用のライブラリである「nanoFramework.Iot.Device.Sht3x」がNuGetで提供されています。
.NET nanoFramrworkアプリケーションテンプレートで新規プロジェクトを作成したら、NuGetでSht3xライブラリを追加します。
SHT30から気温と湿度を取得して画面に表示するC#コード
ENV-IIIのI2Cアドレスを調べる
I2Cシリアル通信では、端子につながっている機器から特定のセンサーを指定するために「アドレス」を指定します。
ENV-IIIの中のSHT30と接続するためにアドレスに指定する値は、ENV-IIIの仕様書をみると書かれています。
ENV III Unit with Temperature Humidity Air Pressure Sensor (SHT30+QMP6988) | m5stack-store
I2C interface (SHT30:0x44 , QMP6988:0x70)
このアドレスを指定してI2C通信を行うことでSHT30より気圧値を取得できます。
Grove端子との通信では次のようなコードでI2C通信経路を確立できます。
gist.github.com
センサー値を取得する
センサー値を取得するためには次のようなコードになります。
WriteLine($"Temperature:{Sht.Temperature.DegreesCelsius:F} C");
WriteLine($"Humidity:{Sht.Humidity.Percent:F} %");
単位ごとのメソッドが用意されているので、℃で気温を得たいときは「Temperature.DegreesCelsius」メソッド、湿度を%で多いときは「Humidity.Percent」メソッドを使います。
M5StickC Plusで気圧表示(QMP6988)
SHT30から温と湿度を無事取得できたので、次は、QMP6988から気圧を取得します。
ENV-IIIのライブラリを調べる
SHT30については「nanoFramework.Iot.Device.Sht3x」ライブラリが使えますが、QMP6988を使うためのライブラリは2022年8月現時点ではNuGetに公開されていません。
そこで自作でQMP6988用のクラスを作成しました。
IoT.Devices.Qmp6988.cs · GitHub
詳しくは、以前の記事を参照してください。
hatsune.hatenablog.jp
ENV-IIIのI2Cアドレスを調べる
ENV-IIIのQMP6988のアドレスは仕様書から「0x70」なのでそれを指定して通信を確立します。
Qmp = new(M5StickCPlus.GetGrove(0x70))
センサー値を取得する
全体的なコードは次のようになります。
gist.github.com
センサー値の取得部分は次のところです
Console.WriteLine($"DateTime:{DateTime.UtcNow:yyyyMMdd HHmmss}");
Console.WriteLine($"Pressure:{Qmp.CalcPressureHectopascals():F} hPa");
Console.WriteLine($"Temperature:{Sht.Temperature.DegreesCelsius:F} C");
Console.WriteLine($"Humidity:{Sht.Humidity.Percent:F} %");
M5StickC Plusでの動作
ENV-IIIから気圧、気温、湿度を取得するコードが完成したので、Visual Studioで[デバッグ]-[デバッグの開始]メニューでM5StickC Plusへの転送と実行を行います。
時間とセンサー値が1秒ごとに更新表示されます。